改訂新版 世界大百科事典 「ニホンヒキガエル」の意味・わかりやすい解説
ニホンヒキガエル
Bufo japonicus japonicus
ヒキガエル科の大型ガエル。通称ガマ(蝦蟇)。北海道,本州,四国,九州に分布し,近畿地方以北の個体群は,亜種のアズマヒキガエルB.j.formosusに区別される。体長8~15cm,頭部は大きくて幅広く,胴はずんぐりしている。四肢は発達するが後肢が短く水かきの発達も悪い。体背面は一様に大小のいぼ状の隆起に覆われ,眼の後方には有毒物質を分泌する耳腺が発達する。そのため危険に出会うと,四肢を突っ張り頭を下にして耳腺を突き出す特有の自衛ポーズをとる。人でも,この毒液が目に入り角膜炎を起こす例がある。平地から山地の森林ややぶの湿った場所に多く,人家の庭にもすみつき,繁殖期以外は水に入らない。昆虫,ミミズなどの小動物を食べる。2~5月ころ,池沼などの止水に集まって2000~8000個ほどのひも状卵塊を産む。幼生は黒くて小さい。本州中央部の山地には,渓流性のナガレヒキガエルB.torrenticolaを産する。
→ヒキガエル
執筆者:松井 孝爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報