改訂新版 世界大百科事典 「ニュガト」の意味・わかりやすい解説
ニュガト
Nyugat
ハンガリーの文学革命に最も影響を与えた代表的文芸誌(1908-41)。誌名は〈西方〉の意。1929年まではオシュバートOsvát Erno(1876から78-1929),その後モーリツZ.,バビッチ,ゲレールトGellért Oszkár(1882-1967)が,33年にモーリツが抜けてからは上記の2人が編集の主導権をとった。編集方針は,一定の水準をもった時代にふさわしい文学作品のすべてに場を提供することと,名前のごとく西洋の文学を紹介することにあった。これは,ハンガリーの後進性に目覚めたパリ在住のアディとの結びつきを強くし,文体や文学上の改革をもたらしただけでなく,市民社会のモラルや世界観においても指導的役割を果たした。ここからモーリツ,カリンティ,バラージュB.,コストラーニュKosztolányi Dezső(1885-1936),イェーシュ,ネーメト,ベレシュWeöres Sándor(1913-89)など多彩な作家,詩人が巣立った。バビッチが中心になってからは,ヨージェフや民衆派の詩人たちは《ニュガト》以外の場で文学活動を行うなど,アクティブな役割を失っていく。
執筆者:岩崎 悦子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報