改訂新版 世界大百科事典 「イェーシュ」の意味・わかりやすい解説
イェーシュ
Illyés Gyula
生没年:1902-83
ハンガリーの詩人。1919年のハンガリー共和政府樹立時,地方でその一員に加わる。瓦解後,亡命してパリに落ちつき,詩を発表し始める。26年帰国。やがて若い世代の有望な詩人として認められ,バビッチの死後《ニュガト(西方)》を引き継ぎ,《ハンガリーの星》として44年まで主宰する。解放後48年まで新生なった同誌の主宰や政治にも参画するが,その後,史劇《ドージャ・ジェルジュ》(1956)等の創作活動に専念する。シュルレアリストとして出発したが,後に骨太の農民リアリズム,表現主義的,時に古典主義的,異教的な牧歌調の様式等の融合が見られる。詩のほかに自伝的長編《プスタの民》(1936),評伝《ペテーフィ・シャーンドル》(1936),《曳き船のカーロン》(1969)など,多彩で精力的な創作活動で,戦後文壇の重鎮の一人であった。
執筆者:岩崎 悦子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報