モーリツ(読み)もーりつ(英語表記)Móricz Zsigmond

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モーリツ」の意味・わかりやすい解説

モーリツ
Móricz Zsigmond

[生]1879.7.2. ティサチェーチェ
[没]1942.9.4. ブダペスト
ハンガリーの小説家。地方の上流社会の皮相さや農民の生活をリアルに描き,鋭い社会批判を含む多くの長短編小説によってハンガリーのリアリズム文学を確立した。出世作となった『7クライツァール』 Hét krajcár (1908) をはじめ多くの短編集があり,長編小説には『泥金』 Sárarany (10) ,『神のうしろで』 Az Isten háta mögött (11) ,『親類縁者』 Rokonok (32) ,『ダンス』 Bál (36) などがある。自伝的要素の濃い『死にいたるまで善人であれ』 Légy jó mindhalálig (21) は児童文学の代表作。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「モーリツ」の意味・わかりやすい解説

モーリツ
もーりつ
Móricz Zsigmond
(1879―1942)

ハンガリーの小説家。農村出身で、神学法学を学んだのち新聞記者となる。短編『七クロイツァー』(1908)で一躍文壇に認められ、『泥金』(1911)、『神の背後で』(1911)などの農村をテーマとした長編で、自然主義からリアリズム作家に脱皮した。因習にとらわれた中産階級の生活を描く『ウリ・ムリ』(1928)や、農民の窮乏生活を物語る『幸せな人』(1935)など、いずれにも人間を突き放さない、作者の暖かい目が感じられる。ハンガリー近代散文学の祖であり、ハンガリー・リアリズムの創始者ともいわれる。ほかに歴史小説『トランシルバニア』三部作(1922~35)、自伝的児童文学『死に至るまで善良であれ』(1921)などの作品もある。

[岩崎悦子]

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