ヌマカ(読み)ぬまか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヌマカ」の意味・わかりやすい解説

ヌマカ
ぬまか / 沼蚊

昆虫綱双翅(そうし)目糸角亜目カ科ヌマカ属Mansoniaの昆虫の総称。体長10ミリメートル内外、中形の黒褐色種で、体や脚(あし)に白い多くの斑紋(はんもん)や斑点をもつ。はねは幅広く、白と黒の鱗毛(りんもう)を混生する。気門後剛毛が十数本あるが、気門剛毛はない。脚のつめの間に肉質の褥板(じょくばん)を欠く。卵は卵塊として水生植物の葉の裏に産み付けられ、幼虫は特殊な呼吸管をもち、その先端にある鉤(かぎ)で根や茎に止まり、同時に呼吸えらを出して溶存酸素を呼吸する。南アメリカ、南アジア、アフリカの熱帯を中心に20種ほどが知られている。日本には本州から琉球(りゅうきゅう)諸島にかけてアシマダラヌマカM. uniformisの1種が分布している。本種は、池、沼、クリーク地帯ではときに大発生して吸血カとして問題になる。成虫は激しく人や動物を襲い、熱帯地方ではマレー糸状虫症を媒介する種類もある。

倉橋 弘]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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