ネオカルチノスタチン

化学辞典 第2版 「ネオカルチノスタチン」の解説

ネオカルチノスタチン
ネオカルチノスタチン
neocarzinostatin

C511H768N132O179S4(11752.77).ジノスタチンともいう.Streptomyces carzinostaticusが産生する制がん抗生物質.白色の粉末.分解点約260 ℃.UV(水)λmax 278 nm(ε 16000).生物活性を示す不安定なジエンジイン構造の発色団部分と発色団に結合し,安定化に役立ち,キャリヤーにもなっているアポタンパク質(113個のアミノ酸からなるポリペプチド)から構成される.水に易溶.エンジイン構造から生成されるラジカル(遊離基)がDNAを切断する.急性白血病肝臓がんの治療に用いられる.LD50 0.96 mg/kg(マウス静注).[CAS 9014-02-2][CAS 79633-18-4:発色団]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のネオカルチノスタチンの言及

【抗生物質】より

…日本では,世界にさきがけて実験動物腫瘍を用いて制癌抗生物質の探索を始め,この分野では世界の水準の先端にあるといえる。日本で発見され臨床的に用いられているものに,秦藤樹のカルチノフィリン(1954),マイトマイシン(1956),梅沢浜夫のブレオマイシン(1966),ペプロマイシン(1977),アクラシノマイシンA(商品名アクラルビシン,1977),立岡末雄のクロモマイシンA3(1955),石田名香雄のネオカルチノスタチン(1965)があり,とくにブレオマイシン,マイトマイシンは外国でもよく用いられている。外国で発見されたもので治療に用いられているものに,アクチノマイシンD,ダウノルビシン(商品名ダウノマイシン),ドキソルビシン(商品名アドリアシン)がある。…

【制癌薬】より

…これは主としてRNA合成を阻害し,副作用も少ない。そのほか,日本で見いだされたネオカルチノスタチンやクロモマイシンA3(トヨマイシン),ブレオマイシンの第2世代抗生物質といえるペプロマイシン(ペプレオ)などや,歴史の古いアクチノマイシンD(コスメゲン)なども臨床に利用されている。
[植物アルカロイド類]
 ツルニチニチソウのアルカロイド製剤,ビンブラスチン(エクザール)とビンクリスチン(オンコビン)が臨床に用いられている。…

※「ネオカルチノスタチン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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