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急性白血病 キュウセイハッケツビョウ

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デジタル大辞泉の解説

きゅうせい‐はっけつびょう〔キフセイハクケツビヤウ〕【急性白血病】

骨髄にある造血細胞が正常な血球に分化・成熟する能力を失い、異常な血液細胞無秩序に増殖する病気。正常な血球をつくる機能が妨げられ、病気に対する抵抗力が低下し、貧血や出血を起こしやすくなる。腫瘍化する細胞の種類によって、急性骨髄性白血病急性リンパ性白血病に大別される。急速に進行し、放置すれば短期間で死に至る。治療法として化学療法放射線療法造血幹細胞移植などがある。→慢性白血病

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家庭医学館の解説

きゅうせいはっけつびょう【急性白血病 Acute Leukemia】

[どんな病気か]
 血液中の血液細胞は、骨髄(こつずい)でつくられます。初めは未熟ですが(芽球(がきゅう))、やがて成熟し、完全な細胞に分化します。急性白血病はこの成熟・分化の能力を失った未熟な細胞(白血病細胞(はっけつびょうさいぼう))が、骨髄内で無制限に増殖してくる病気です。
 このため、骨髄での血液をつくるはたらきが低下し、貧血(ひんけつ)、好中球減少(こうちゅうきゅうげんしょう)(「血液、造血器のしくみ」)、血小板減少(けっしょうばんげんしょう)といった血液組成の異常がおこってきます。また、悪性の細胞が血液の流れとともに全身をめぐるために、いろいろな臓器に侵入し、そこに障害をおこします。
 増殖する白血病細胞の種類によって、急性骨髄性白血病(きゅうせいこつずいせいはっけつびょう)と急性(きゅうせい)リンパ性白血病(せいはっけつびょう)に大きく分けられています。さらに、急性リンパ性白血病は3つに、急性骨髄性白血病は8つに分類されます(コラム急性白血病の分類」)。
 骨髄性白血病とリンパ性白血病の割合は、おとなでは4対1、逆に子どもでは、1対4の割合になります。
■急性骨髄性白血病(きゅうせいこつずいせいはっけつびょう)
 白血球(はっけっきゅう)のうち、とくに顆粒球(かりゅうきゅう)となるはずの芽球ががん化します。ペルオキシダーゼ染色という特殊な検査で反応する芽球が3%以上ある白血病です。早期発見できれば、治癒(ちゆ)が可能です。
■急性(きゅうせい)リンパ性白血病(せいはっけつびょう)
 リンパ球ががん化し、血液や骨髄中で増殖します。ペルオキシダーゼ染色に反応する芽球は3%未満です。
[症状]
 疲れやすい、動悸(どうき)、息切れなどの貧血の症状のほか、発熱、寝汗(ねあせ)などがおこります。
 歯肉出血(しにくしゅっけつ)、鼻出血(びしゅっけつ)、皮下出血(ひかしゅっけつ)などをおこしやすい出血傾向(しゅっけつけいこう)がみられることも多く、とくに急性前骨髄球性白血病(きゅうせいぜんこつずいきゅうせいはっけつびょう)は出血がおこりやすいものです。
 また、胸骨(きょうこつ)(胸の中央に縦に長く触れる骨)を指先で軽くたたくと痛む叩打痛(こうだつう)、リンパ節の腫(は)れ、肝臓と脾臓(ひぞう)の腫れなどもおこります。
[検査と診断]
 診断には、血液検査骨髄穿刺(こつずいせんし)が必要です。
●血液検査
 静脈から血液を採取して調べると、赤血球(せっけっきゅう)が減少している貧血と、血小板の減少がみられます。
 白血球数は、増加していることが多いのですが、3分の1の人は正常よりも減少しています。白血球中の悪性の白血病細胞の比率はさまざまです。
●骨髄穿刺
 骨髄に針を刺して骨髄の中の血液を微量採取して調べると、白血病細胞が多数見つかり、血液細胞をつくっている正常な細胞群が減少しています。この白血病細胞が多数見つかることが診断の決め手で、確実な診断には血液の専門医の助けが必要です。
 また、増殖している白血病細胞の種類がどれかを決めるには特殊な検査が必要なので、専門の機関で検査します。
[治療]
 血液専門医のいる病院でないと治療を行ないにくいものです。治療の目標は、いろいろな方法で白血病細胞を絶滅させ、正常な細胞の再生をはかることで、つぎのようにして治療を進めていきます。
 なお、お年寄りでは、薬の副作用合併症をおこしやすく、治療がむずかしいことが多いため、生活の質(QOL)を配慮した治療が行なわれます。
●寛解導入療法(かんかいどうにゅうりょうほう)
 抗白血病薬を使用し、できるだけ白血病細胞を減少させることを試みます。
 抗白血病薬は、白血病細胞だけではなく、正常な造血細胞やその他のからだの細胞も障害することがあり、貧血、好中球や血小板の減少が一時的に悪化したり、嘔吐(おうと)、脱毛、肝障害などの副作用がおこったりします。
支持療法
 白血病では、出血をおこしやすく、感染に対する抵抗力が低下するので、大量出血や細菌などの感染によって、ときに生命にかかわることがあります。このため、無菌室に入室したり、抗生物質を大量に使用したりして感染に対処し、たびたび輸血をして出血に備えたりします。
●地固(じがた)め療法(りょうほう)
 抗白血病薬が効いてくると、体内に1012個(1兆個台)以上あった白血病細胞が1010個(100億個台)以下にまで減少してきて、正常な血液をつくるはたらきも回復してきます。この状態を完全寛解(かんぜんかんかい)といいますが、この段階で治療を打ち切ってしまうと、必ず白血病細胞が再び増殖してくるので、106個(100万個台)程度に白血病細胞が減少するまで、治療を続ける地固め療法がたいせつです。
●維持強化療法
 完全寛解の状態を続けるために、抗白血病薬の使用など、必要な治療を続けます。
 最近では、体内に残存している白血病細胞を絶滅させ、治癒の状態にまでもっていくために、免疫療法(めんえきりょうほう)などがさかんに行なわれるようになっています。
●骨髄移植(こつずいいしょく)
 新しい薬剤の開発などにより化学療法の成績もあがっていますが、白血球抗原(はっけっきゅうこうげん)(HLA)の適合や患者さんの年齢・健康状態などの条件がそろえば、骨髄移植が検討されることもあります。
 白血球抗原の形が一致する骨髄提供者(ドナー)から採取した骨髄を、静脈から輸血することで移植します(同種骨髄移植(どうしゅこつずいいしょく))。移植後は、約1か月無菌室に入り、感染症や合併症の予防などの管理が行なわれます。
●予後
 治療の進歩によって、完全寛解の状態になる人は、増加しています。おとなに多い急性骨髄性白血病では、完全寛解の状態になる人が約80%で、子どもの急性リンパ性白血病では、完全寛解の状態になる子どもが95%を超えるほどです。

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世界大百科事典内の急性白血病の言及

【小児癌】より


[小児癌の種類]
 小児癌には多種類のものが含まれるが,主要なものは次のとおりである。(1)白血病 急性と慢性とがあるが,小児では95%以上が急性白血病である。白血病細胞がリンパ球に由来するものがリンパ性白血病で,骨髄細胞に由来すると考えられるものが骨髄性白血病(非リンパ性)である。…

【白血病】より

…すべての白血球が共通の母細胞(造血幹細胞)から生ずるところから,このような白血病の白血球は造血幹細胞にきわめて近いものと推定される。白血病はまた,自然経過の緩急によって,急性白血病と慢性白血病にも分けられる。急性白血病では,増加した白血病の白血球の大部分は未熟な形態を示す細胞(芽球)であり,慢性白血病では,未熟な細胞から成熟した細胞が段階的に増加していたり,成熟型がほとんどを占めていることが多い。…

※「急性白血病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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