日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネキリムシ」の意味・わかりやすい解説
ネキリムシ
ねきりむし / 根切虫
栽培植物の根際(ねぎわ)を加害し、食い切って枯らす害虫の総称。ダイコン、ナス、トマト、ウリ類、青菜類、マメ類などの蔬菜(そさい)や、花や葉の観賞植物を加害するものをさすことが多いが、それらは鱗翅(りんし)類のヤガ科に属し、モンヤガ亜科とヨトウガ亜科に含まれるもので、幼虫は成熟すると日中は土の中に隠れていて夜間活動し、根際の部分を食害する習性をもっている。各地で普通にみられる種類は、カブラヤガ、タマナヤガ、シロモンヤガ、ヨトウガ各類の幼虫で、加害された若い苗は倒れて枯れてしまうが、虫が隠れてみつからないうちに被害が広がる。幼虫(ヨトウムシとよばれる)は若いうちは緑色で葉裏に群生しているが、成長すると暗褐色になり、昼間は土中に潜って隠れるようになる。駆除には薬剤の散布をするが、畑の周囲に溝を掘り、夜間溝に落ちた幼虫を集めることもある。樹木の苗木を害するネキリムシは、俗にジムシとよぶコガネムシの幼虫をさすことが多い。ほかにイネの苗を害するキリウジ(キリウジガガンボの幼虫)、ムギの根を害するコメツキムシ類幼虫なども知られている。
[中根猛彦]