改訂新版 世界大百科事典 「ネギアザミウマ」の意味・わかりやすい解説
ネギアザミウマ (葱薊馬)
onion thrips
Thrips tabaci
アザミウマ目アザミウマ科に属する微小な昆虫。体長は1.1~1.4mm,淡黄褐色~黄褐色。触角は7節で,第1節は淡黄色,第2節,第6,7節は黄褐色,第3~5節は淡灰色で基部は明るい。単為生殖を行い,雄はまれにしか発見されない。世界各地に分布し,日本全国で見られる。ネギ,キク,キュウリ,メロン,タバコなど農作物やその他各種植物の花上,葉上に生活し,農業害虫としても知られる。温室内では年中発生するが,野外では春から秋にかけて5~7世代を繰り返し,7,8月の高温で乾燥した時期にもっとも多く発生する。厳寒期には植物間隙などで成虫,または幼虫態で越冬する。雌は植物の組織内に20~90卵を産卵し,孵化(ふか)した幼虫は5~15日で成虫になる。1世代の長さは15~20日。本種が多量に発生したネギ畑などでは,飛来した本種の成虫によって首筋などを刺され,刺痛をうけることがある。
→アザミウマ
執筆者:岡島 秀治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報