ねじれ現象(読み)ねじれげんしょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ねじれ現象」の意味・わかりやすい解説

ねじれ現象
ねじれげんしょう

1989年の参議院選挙で与野党逆転が実現し,翌 90年の衆議院選挙では自民党が勝利を収め,与野党の議席配分が衆参で逆転した現象をいう。予算や条約など衆議院優位が制度化されているもの以外は,両院議決なしには成立しないため,政府・与党による国会運営は,きわめてむずかしいものになった。その一方で,ねじれ現象は野党の国会戦術にも大きな影響を与えた。従来,野党は自民党多数による議案の成立を前提に,多くの議案にたてまえ上の反対を唱えてきた。しかし,ねじれ現象のもとでは,野党が反対すれば議案の成立は絶望的になり,直接国民生活に影響を与える事態となる。そこで野党は以前のような無責任な反対のための反対が許されなくなり,反対する際は,それに対する対案が求められることになった。ねじれ現象は,両者の現実的な妥協に基づく国会運営を助長し,与野党双方に現実的な対応と妥協を強いることになり,国対政治も影をひそめた。

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