精選版 日本国語大辞典 「ののしる」の意味・読み・例文・類語
ののし・る
- [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
- ① 人が声高に物をいう。
- ② 大きな物音がする。また、他動詞的に用い、人間以外のものが、騒がしい物音、鳴き声をたてる。
- [初出の実例]「法雷を響(ノノシリ)て弁を吐(つは)はき、慮を静めて微(ひ)に通ずる者は」(出典:地蔵十輪経元慶七年点(883)序)
- 「犬どもの、出で来てののしるも」(出典:源氏物語(1001‐14頃)浮舟)
- ③ 世間の評判になる。また、善悪ともにやかましく噂する。
- [初出の実例]「只今ののしる人にこそはあんめれ。上達部になりぬべき君なめれば」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)
- ④ 権勢が盛んである。勢力があり、時めいている。
- [初出の実例]「左の大臣の北の方にてののしりたまひける時」(出典:大和物語(947‐957頃)一二四)
- ⑤ ことごとしいことをいう。大げさにえらそうなことをいう。
- [初出の実例]「歌よみて道とののしる輩ならねば、物とへ」(出典:読本・春雨物語(1808)海賊)
- [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙 ( 罵 ) 大きな声で非難する。しかりとばす。また、口ぎたなく悪口を言う。
- [初出の実例]「人のむすめをしのびてえたりけるを、親ききつけて、ののしりてあはせざりければ」(出典:大和物語(947‐957頃)六三)