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悪口 アック

デジタル大辞泉の解説

あっ‐く〔アク‐〕【悪口】

仏語。十悪の一。人をあしざまに言うこと。また、その罪。

あっ‐こう〔アク‐〕【悪口】

[名](スル)人を悪く言うこと。悪態をつくこと。また、その言葉。わるくち。「悪口を浴びせる」→あっく(悪口)
「ゆるりと磔柱(はりき)にかかって、休まるる体じゃと―し」〈芥川・さまよへる猶太人〉

わる‐くち【悪口】

《「わるぐち」とも》他人を悪く言うこと。また、その言葉。あっこう。「上司の悪口を言う」

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世界大百科事典 第2版の解説

あっこう【悪口】

人の“わるくち”を言うことはいつの時代,どのような社会でもみられる日常茶飯事にすぎないが,その反道徳性の強弱違法性有無などは,当然ながら時代や社会によって大きく左右される。たとえばごく最近までただのわるくちにすぎなかった他人の肉体的欠陥を言い立てる言語表現が,今は表現方法によっては厳しい社会的制裁をともなうタブーとなったのはその著しい例といえよう。日本の前近代社会でも,それぞれ身分や地域社会に,とくに忌避され慣習的な罰の対象となっていた悪口があったであろうが,ほとんど史料的痕跡をとどめていない。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

あくこう【悪口】

あっく【悪口】

( 名 ) スル
〘仏〙 十悪の一。言葉による悪。荒々しく人をののしること。また、その言葉。

あっこう【悪口】

( 名 ) スル
人を悪く言うこと。また、その言葉。わるくち。 「 -を浴びせる」 「先つき迄迷亭の-を随分ついた揚句こゝで無暗な事を云ふと/吾輩は猫である 漱石

わるくち【悪口】

〔「わるぐち」とも〕
人を悪く言うこと。また、その言葉。あっこう。 「友人の-を言う」

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

悪口
あっこう

悪口は、合戦などの実力行使に伴う攻撃手段、個人的な対決の技術、あるいは社会的制裁の一環など、いろいろな社会的機能を果たしてきた。鎌倉幕府の御成敗式目第十二条は悪口を「闘殺の基」として禁止しており、幕府の裁判文書にも悪口が争点として登場する。それらを見ると「盗人」「外道」などの一般的な悪口以外は、「凡下(ぼんげ)」「非御家人」など相手の身分を実際より低く貶める言葉が多い。これは幕府法の対象となる武士階層は名誉心が強く、身分呼称に敏感だったので、それについての争いが多かったからだと考えられ、幕府史料だけで中世の悪口を論じると偏る恐れがある。『古今著聞集』に見える「おやまき」や、鎌倉期の文書に残る「母開(ぼかい)」などの言葉は、近親相姦を意味する罵言と推測されるが、これら性的な悪罵を含めて、もっと広範な種類の悪口が存在したと考えるべきだろう。また岩間悪態祭、最勝寺悪口祭など悪口祭・悪態祭と称される行事が、日本各地に行われていたが、これらの祭は豊饒儀礼の一種と考えられ、悪口の社会的機能には豊饒儀礼における役割も含まれるものと考えることができる。[山本幸司]
『笠松宏至著「お前の母さん…」(網野善彦ほか著『中世の罪と罰』所収・1983・東京大学出版会) ▽山本幸司著『〈悪口〉という文化』(2006・平凡社)』

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世界大百科事典内の悪口の言及

【悪態】より

…他人の悪口を言うことは,広く各地の神社や寺院で行われる悪態祭・喧嘩祭などの祭りのほか,芸能や口承文芸の中に,多様な形でみられる。悪態は日本の文化や社会の構造に仕組まれた,秩序を維持するための装置(要素)の一つと考えられる。…

【悪口】より

…たとえばごく最近までただのわるくちにすぎなかった他人の肉体的欠陥を言い立てる言語表現が,今は表現方法によっては厳しい社会的制裁をともなうタブーとなったのはその著しい例といえよう。日本の前近代社会でも,それぞれの身分や地域社会に,とくに忌避され慣習的な罰の対象となっていた悪口があったであろうが,ほとんど史料的痕跡をとどめていない。 その中で御成敗式目がその第12条で,悪口を罪として規定したことは,日本の悪口史上きわめて重大なできごとであった。…

※「悪口」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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