日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハゲブダイ」の意味・わかりやすい解説
ハゲブダイ
はげぶだい / 禿不鯛
禿武鯛
禿部鯛
daisy parrotfish
[学] Chlorurus sordidus
硬骨魚綱スズキ目ブダイ科に属する海水魚。駿河(するが)湾以南、太平洋、インド洋に分布する。前頭部は角張る。頬の鱗(うろこ)は2列。尾びれは直線状。上顎(じょうがく)の歯板は唇で被われず、露出する。胸びれの下部はほとんど透明で、尾びれの基部に1個の大きな暗色斑(はん)があるのが本種の特徴である。幼魚は赤褐色で、4本の乳白色の縦帯が走る。雌雄ともに成長するにつれて、体の前半部は淡く、後半部が濃い赤褐色になる。体色の変異が著しく、雄では全体に緑色のものもいる。体長30センチメートル。成魚はサンゴ礁の内側と外側の斜面に広く生息する。幼魚は海草帯でベラ類と混成群をつくる。雌は満1歳で成熟して産卵した後、緑色の雄(二次雄)に性転換する。一次雄(性転換を経ず、幼魚からそのまま雄型となったもの)は成熟して産卵に関与したのち、緑色に変化する。緑色に変化した雄はつがい産卵するようになる。夜には体の周囲にまゆ状の膜をつくって、そのなかで眠る。小型の藻類を食べる。どの海域でももっとも多いブダイ類である。
[尼岡邦夫]