ハコネラン(その他表記)Ephippianthus sawadanus(F.Maek.) Ohwi

改訂新版 世界大百科事典 「ハコネラン」の意味・わかりやすい解説

ハコネラン
Ephippianthus sawadanus(F.Maek.) Ohwi

冷温帯の林床にややまれに見いだされる小型の地生ラン。和名は,最初の発見地,箱根山にちなむ。根茎は細長く伸長する。地表近くに,長さ1.5~3cmの楕円形の葉を1枚展開する。6月ころ,8~15cmの細い花茎の先に,数個の花をまばらにつける。花は淡黄緑色,径1cm弱。唇弁には中央部から基部にかけて細かい鋸歯がある。花粉塊は蠟質で4個。蕊柱(ずいちゆう)には左右に突起がある。日本特産種で,関東,近畿の太平洋側の山地に分布し,おもにブナ帯の林床に生育する。近縁のコイチョウランE.schmidtii Reichb.f.は,亜高山帯針葉樹の林床に生育し,唇弁に鋸歯がなく,全縁である。本州中部以北の北日本からサハリン南千島に分布する。

 コイチョウラン属Ephippianthusは,上記の2種により構成され,偽球茎をつくらない点,根茎が細く伸長する点などで特徴づけられる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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