日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハタケシメジ」の意味・わかりやすい解説
ハタケシメジ
はたけしめじ / 畑占地
[学] Lyophyllum decastes (Fr.) Singer
担子菌類、マツタケ目キシメジ科の食用キノコ。普通、5~20本、ときに数十本も固まって束生する。形はホンシメジに似るが、傘の色や生態には差異がある。ハタケシメジの傘は径3~12センチメートルの丸山形、若いときは黒褐色ないし茶褐色だが、のち淡灰褐色ないし淡黄褐色になる。ひだは白、茎は表面が灰白色、肉は充実する。一方、ホンシメジの傘は淡灰色、ひだは白から淡いクリーム色、肉は同様に充実している。また、生態的にみると、ハタケシメジが地下に埋もれた木材から生える死物寄生菌であるのに対し、ホンシメジはナラ類の根と菌根をつくって共生する菌根菌である。ハタケシメジは、ときに地下1メートルの深さに埋もれた木材から長い菌糸束を地上に伸ばしてキノコをつくる。5~10月に山地の路傍の草むら、都市の庭や家の軒先、ときには農家の物置の土間などに大きな塊をつくって生え、人を驚かせる。ホンシメジと同属の菌で味はよい。栽培は可能であるが、大量生産はまだできていない。
[今関六也]