精選版 日本国語大辞典 「土間」の意味・読み・例文・類語
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屋内において床を張らずに、地面のまま、または叩(たた)き土(つち)、漆喰(しっくい)塗りなどにしてあるところ。現代では、玉砂利敷き、石敷き、石張り、タイル張り、コンクリート打ちなどの場合もこの呼称を用いる。原始住居跡から推定できるように、住まいは、初めは一室の土間だけの小屋であった。それが、中世以降、上流の人たちの住居の形式が一般化され、炊事や作業に土間を、居室として板床(のちには畳を用いた部屋)をそれぞれ用いるようになった。この形式が今日でも民家にみられる。
また、初期の歌舞伎(かぶき)劇場では、舞台の正面席を土間とよんだ。左右の席が屋根付き板張りの桟敷(さじき)であったのに対し、正面席は露天の土間であった。江戸時代の後半になってから、劇場全体に屋根がかけられ、この正面席もようやく枡(ます)という方形の席を設けるようになった。その中央部分一面を平土間(ひらどま)、平土間より高く、桟敷より低い部分を高土間(たかどま)という。
[中村 仁]
日本の住宅形式が履き物を脱いで上がる関係で、土間は不可欠なものである。土間はニワとかウスニワ、ニヤなどともよばれ、さらに内庭、外庭と区別される。片側に部屋があり、ニワが表から裏まで通っている片側住居の場合は、とくにトオリとよぶこともある。土間を格子戸や衝立(ついたて)で裏表に分けた場合、前面のほうをウスニワとよぶ。唐臼(からうす)を装置するからで、藁(わら)仕事やときには、脱穀調製までそこを使うこともある。藁打ち石などが埋めてあるのも、そのためである。調製に使う場合は、箒(ほうき)で掃き清め、人の歩く所だけ踏み板を置く地方もある。そのほか農具置き場や厩(うまや)、籾(もみ)を貯蔵するセイロ(別名キッツ)、便所、風呂場(ふろば)なども土間に設けられる。
土間に似て土座(どざ)という名がある。これは主として寒い地方に多い。土間を30センチメートルほど掘り下げ、籾や藁をいっぱいに敷き詰めた構造で、土間以外の居室はもちろんのこと、寝間までこの方法にしたもので、板張り以前の床構造である。
[竹内芳太郎]
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…劇場や演能場,相撲小屋などで,大衆席である土間に対して一段高く床を張って造られた,上級の観客席をいう。その古い例は《古事記》や《日本書紀》に見られる〈仮庪(さずき)〉で,これは観覧席ではなく,神事の際の一段高く床を張った仮設の台,つまり舞台的な意味を持つものだった。…
…近世にはさらにこの亀腹もなくなり,地表面の高さに礎石をすえるのが一般的になる。基壇の上に礎石をすえる場合,飛鳥・奈良時代の寺院建築では土間床のため礎石が見えるので,上面を加工して平らにし,さらに柱の底面などに合わせた作り出しをしたが,後には床によって見えなくなるため自然石をそのまま用いた。塔の心礎は舎利容器を入れるため,特別に加工されたものが多い。…
…この主屋の平面は大嘗宮正殿の平面と共通する構成になっており,庶民の住居としても,かなり程度の高い住居をモデルにしたものと思われる。同じ庶民の住居でも《信貴山縁起絵巻》に描れた奈良の家は,板葺土壁塗の建物で,半分を土間,他の半分を床(ゆか)としている。土間の入口は扉,床の開口は突止戸(つきとめど)になっている。…
…日本の農家に納屋が普及したのは江戸時代の中期以降で,現存する建物もあまり古いものはない。江戸中期以前は,主屋の土間が納屋の役割を果たしていたと思われ,土間は床上の部分と同じ広さにとられる。江戸中期以後,土間の面積は縮小し,主屋面積の3分の1くらいになるが,その時期が農家に納屋が普及した時期に見合っているものと考えられる。…
…室町時代,天皇家,将軍家に直属して作庭,造園に携わり〈禁裏御庭者(庭者)〉〈仙洞御庭者〉〈公方御庭者〉といわれた河原者,江戸時代,将軍直属の密偵,隠密で,幕府の諸機関を通さず,後庭から出入りして直接将軍の命をうけた御庭番(おにわばん)のあり方も,こうした庭の特質と関係がある。 現在でも農作業を行う平らな場としての〈庭〉は,広く民俗語彙の中に残っており,脱穀,調整をする家の外の仕事場,家の中の土間を庭というが,なかには共同作業を行う組織そのものを意味している場合もある。このように,家の中および周囲にとりこまれてからも,庭は共同の広場の特質をまったく失ってはいないのである。…
…おおいのない土地・地面のこと。また家と家との間の狭い道,敷地内に設けられた狭い通路,のことであるが,山梨県南巨摩郡,愛知県北設楽郡,飛驒の民家では屋内の土間,北陸,北信,奥羽地方の民家では庭,京都では町屋内の庭園,東北・北陸地方では庭園,大阪府,和歌山県,香川県の民家では裏木戸門,関西地方で路地の奥にある裏長屋を意味する。いっぽう茶道では茶室(座敷)に至る通路が,庭園として整備されたのちも露地と呼ばれる。…
※「土間」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
アデノウイルスの感染により、発熱、のどのはれと痛み、結膜炎の症状を呈する伝染性の病気。感染症予防法の5類感染症の一。学童がプールで感染して集団発生するのでプール熱ともいう。...
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