日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホンシメジ」の意味・わかりやすい解説
ホンシメジ
ほんしめじ / 本占地
真占地
[学] Lyophyllum shimeji (Kawamura) Hongo
担子菌類、マツタケ目キシメジ科の食用キノコ。「におい松茸(まつたけ)、味しめじ」といわれるときのキノコはホンシメジで、単にシメジの名でも親しまれてきた。しかし、最近は栽培ヒラタケ(ヒラタケ科)のように、似て非なるキノコがシメジの名でよばれるようになったことから、これと区別するために、新たにホンシメジの名がつけられた。
ホンシメジは高さ3~8センチメートルで、5~10本ずつ株立ちする。傘は半球形から丸山形、淡灰色で径4~8センチメートル、粘りはない。肉は白く充実する。ひだは密で、白から淡いクリーム色、茎にやや湾生ないし垂生する。茎は白く、下半部はとっくり形に膨らむ。胞子紋は白。胞子は径4~6マイクロメートルの球形。10月の上旬から中旬にかけて、低山の雑木林のほか、マツと雑木との混交林に輪を描いて生える。ホンシメジは、その上品な色と形、および優れた味によって古くから全国的に知られた日本特産菌であり、欧米にはない。また、ナラ類の根と菌根をつくって共生する菌であるため、栽培はできない。ホンシメジにもっとも近縁のキノコはシャカシメジ(センボンシメジ)である。シャカシメジの発生は、ホンシメジよりやや早い。また、ホンシメジと同属にはハタケシメジ、シロタモギタケ、ブナシメジがあるが、これら3種のキノコは木材腐朽菌であるため栽培が可能である。また、味も優れていることから、シロタモギタケやブナシメジの栽培品は市場に出回り、ホンシメジの名で市販されることが多い。もちろん、これも本物とは異なっている。
[今関六也]