改訂新版 世界大百科事典 「ハムサ」の意味・わかりやすい解説
ハムサ
Khamsa
中世イランの詩人ニザーミーによる長編叙事詩。神秘主義詩《マフザヌル・アスラール(秘密の宝庫)》,ロマンス叙事詩《ホスローとシーリーン》《ライラとマジュヌーン》《ハフト・パイカル(七王妃)》,英雄叙事詩《イスカンダル・ナーメ(アレクサンドロスの書)》の五部から構成され,《五部作》と訳されることもある。《ハムサ》は古来イランの画家たちが最も好んだ画題の一つで,フィルドゥーシーの《シャー・ナーメ》と同様,非常に多くの挿絵が描かれた。代表的作品としてはビヒザードはじめ一流の画家の手になる大英図書館蔵の1442年本,1494年本,1539-43年本などが知られる。
執筆者:杉村 棟
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報