日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハモグリムシ」の意味・わかりやすい解説
ハモグリムシ
はもぐりむし / 葉潜虫
leaf miners
植物の葉の組織内に潜入して生活する昆虫の総称。ハムグリムシともいう。葉と組織の似ている花弁、茎、果実の皮下などに潜入するものもハモグリムシとよぶことが多い。葉の構造は表から表皮、柵状(さくじょう)組織、海綿状組織があり、裏の表皮があるが、潜葉性の昆虫はどの組織にも潜る。どの層にも潜るもの、表皮だけに潜るもの、柵状あるいは海綿状組織に潜るものなどがある。潜るのはほとんど幼虫であって、食べながら孔(あな)を掘って進むため孔道は発育につれてなくなり、線状、斑点(はんてん)状、蛇行状など、各種に特有の食痕(しょくこん)を残すので、種類の識別に役だち、ジカキムシ、エカキムシなどの方言もある。潜葉性の昆虫は鱗翅(りんし)類ではハモグリガ科、ホソガ科などの多くの小さなガがあり、甲虫類ではタマムシ科やハムシ科などの一部の小形種、膜翅類ではハバチ科の一部の種が知られ、双翅類ではハモグリバエ科をはじめ、ハナバエ科などの多くの類に潜葉性の種がみられる。
[中根猛彦]