ハーグ・プログラム(読み)はーぐぷろぐらむ(英語表記)the Hague Programme

知恵蔵 「ハーグ・プログラム」の解説

ハーグ・プログラム

2004年11月の欧州理事会で採択された「自由・安全・司法領域」の強化のための以降5年間の優先課題10件を定めたプログラム。1999年のタンペレ(フィンランド)欧州理事会で採択されたテロ対策や治安維持を重視した最初の司法・内務関係多年次計画の改定版。このプログラムでは、米同時多発テロや、04年3月のマドリード列車爆破テロ事件の影響を強く受けて、共通の課題に対するEUと加盟国の対応が定められた。(1)基本権・市民権の強化(EU人種差別排外監視センターを基本権庁に再編成)、(2)テロ対策(テロ予防・情報交換)、(3)均衡の取れた移民政策(不法移民と女性・子供の人身売買防止、05年末までの不法移民対策と欧州移民統合枠組みの設計)、(4)共通難民・亡命措置(短・中期措置の調整、欧州難民基金設立)、(5)移民コミュニティーの統合、(6)統合された域外国境管理、(7)情報共有に際してのプライバシー保護、(8)越境組織犯罪に対する戦略概念の発展(国境検査、司法・警察協力)、(9)司法決定の相互承認(民事・刑事分野における司法的障害除去)、(10)責任と連帯感の共有(財源の確保)など。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)との協力・協議も検討されている。さらに、移民に関する案件を除き、決議従来の全会一致から特定多数決制度によることも決まった。

(渡邊啓貴 駐仏日本大使館公使 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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