ハーティム・アッターイー(その他表記)Hātim al-Tā'ī ibn `Abd Allāh

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ハーティム・アッターイー
Hātim al-Tā'ī ibn `Abd Allāh

古代アラビアの詩人。6世紀後半の人で,よく人を容れ,厚く客を遇するなど,典型的なアラブ騎士として後世まで名を残した。伝説によれば,幼時に父を失い祖父に養われたが,あまりにも物を惜しまずに他人に与えるので,ついに祖父からも捨てられた。死後もその亡霊が現れて彼の墓前に野営する旅人をもてなしたという。その墓は中央アラビアのワーディー・ハーイルにあって,生前に客をもてなすのに使った大鍋がその前に置かれてあったと記録にある。彼の「ディーワーン」 (個人詩集) というものが残っているし,またその事績を物語化したものは,広くイスラム世界に行われ,ペルシア語ウルドゥー語マレー語などの「ハーティム・ターイー物語」が数多くつくられ,世にもてはやされてきた。

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