改訂新版 世界大百科事典 「バイパス比」の意味・わかりやすい解説
バイパス比 (バイパスひ)
by-pass ratio
ターボファンエンジンにおいて,圧縮機(ファン)のみを通って後方に排出される空気流量と,燃焼器,タービンを通って後方に排出される空気流量との比。航空機の推進装置の全効率はエンジン熱効率と推進効率との積となる。推進効率は飛行速度をV,ファンエンジンの全排出噴流の平均噴出速度をV′とすれば,2/(1+V′/V)で表され,このV′はバイパス比が大きいほど小さくなる。したがって全効率を高め航空機の燃料消費量を減らすには,エンジン熱効率をよくするとともに,飛行速度Vに応じ最適のバイパス比を選びV′が過大にならぬようにしなければならない。このため高亜音速旅客機では高バイパス比が,高亜音速飛行と超音速飛行をともに実用する超音速戦闘機では低バイパス比とアフターバーナーの組合せが使われる。
→ジェットエンジン
執筆者:八田 桂三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報