ターボファンエンジン(読み)たーぼふぁんえんじん(英語表記)turbofan engine

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ターボファンエンジン」の意味・わかりやすい解説

ターボファンエンジン
たーぼふぁんえんじん
turbofan engine

航空機用タービンエンジンの一種ターボジェットエンジンのタービン部にタービンを増設して、排気ガスのエネルギーを吸収させ、そのエネルギーでエンジンの前側(まれには後ろ側)に設けたファン(風車)を駆動し、ファンで圧縮した空気の一部をそのまま側路(バイパス)を通してエンジンの後方へ直接噴出させ、残りの一部をエンジン内部に導いて燃料と混合して燃焼させる。大量の空気を比較的低速度で噴出させることで推力を得る形式なので、遷音速での飛行に適し排気騒音が小さく燃料消費率も優れており、民間機用のエンジンには好適とされている。なお、ファンで圧縮され側路を通して排出される空気と、エンジン内で燃焼排気されるガスとの重量の比をバイパス比bypass ratioといい、初期のターボファンでは1.7対1程度であったが、最新の高バイパス比の大出力(最大離陸推力20~25トン)のエンジンでは5対1以上になっており、大きさの割に大きな推力が得られるので、ジャンボ機のような超大型機の実現に大きく貢献した。

[落合一夫]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ターボファンエンジン」の意味・わかりやすい解説

ターボファン・エンジン
turbofan engine

ガスタービン・エンジンの一種。ターボジェット・エンジン前部に大きなファンを増設し,最後部に追加したタービンで駆動する。これによって大量の空気を圧縮するが,その大半は燃焼室を通らず,側路を通るバイパス流となって後方へ噴射され,燃焼ガスと相まってエンジン推力を高める。このバイパス流と燃焼室を通る空気との流量比 (バイパス比) が大きいほど燃料消費率が低くなる。その結果,推進効率が増し,排気速度が下がり,騒音も小さくなる。近年の大型ジェット輸送機は,このターボファン・エンジンを装備するものが主流で,バイパス比の大きな高バイパス・エンジンをつけたものが多い。バイパス・エンジン by-pass engine ,ダクテッドファン・エンジン ducted-fan engineと呼ぶこともある。 (→ガスタービン )

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