バカラリウス

大学事典 「バカラリウス」の解説

バカラリウス[羅]

バカラリウス学位は,12世紀末,誕生したばかりの自治団体としての大学が授与したものである。最終的な取得学位であるマギステル位に至る最初の学位として位置づけられた。バカラリウスとは,語源的には修行中で一人前になる前の者を指す言葉であったが,のちに転じて「いまだ教授免許(licentia docendi)は与えられていないが,教師の監督の下,講義を行う上級の学生」を意味することになった。パリでは,まず神学部に初出し(1231年),その後,教養部(1245年)に現れる。パリ大学(フランス)の教養部でバカラリウス試験(デテルミナティオ:determinatio)を受けるには,5年間規定の教科書を学び,20歳に達していなければならなかった(1252年の規定)ボローニャ大学イタリア)では,バカラリウス制は明確な形をとらなかった。13世紀末になって,学芸学部の規約においてデテルミナティオが上級学部への必要条件とされた。

 バカラリウスの役割は,マギステルの補助者として無報酬で講義(「特殊講義(ヨーロッパ)」)を行うことであったが,のちにマギステルが行う授業(「正講義(ヨーロッパ)」)をも担当するようになった。今日,イギリスアメリカ合衆国の大学で学部卒業生をバチェラーと呼ぶが,ドイツやイタリアの大学でこの称号は使われない。またフランスでは大学入学資格者のことをバシュリエ(フランス)(bachelier)と呼んでいる。
著者: 松浦正博

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

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