改訂新版 世界大百科事典 の解説
バッジェ・イ・オルドーニェス
José Batlle y Ordóñez
生没年:1856-1929
ウルグアイの大統領。在任1903-07,11-15年。モンテビデオ市に生まれる。父親のロレンソ・バッジェはコロラド党の軍人で大統領(在任1868-72)。青年時代からコロラド党で活躍し,1886年《エル・ディアEl Día》紙を創刊。下院議員を経て大統領となり,在任中に労働立法の制定,鉄道や保険・金融業の部分的国有化といった社会経済的改革を実現した。また政治の民主化にも腐心し,大統領への権力集中を避けるために複数行政制度を唱え,ウルグアイを〈南アメリカのスイス〉といわれるほど民主的な福祉国家へと変貌させる立役者となった。ただし,その改革は理想的にすぎ,近年の経済危機は,彼の構想した福祉国家の破綻を余儀なくさせている。
執筆者:松下 洋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報