改訂新版 世界大百科事典 「バデレアイト」の意味・わかりやすい解説
バデレアイト
baddeleyite
鉱物名。化学組成ZrO2。単斜晶系で柱状・卓状結晶。通常は双晶になっている。{001}でへき開完全。無色透明であるが,微量成分の存在で褐色~黒色を呈する。モース硬度6.5,比重5.8。2715℃の高融点を有し,熱伝導度は小さい。屈折率は2.1以上と高い。1気圧,約1100℃で正方晶系に変態し,体積が減少する。ジルコニウムZrの地殻存在度は銅より多いが,ジルコンZrSiO4として一般に産出し,バデレアイトは非常にまれな鉱物である。漂砂鉱床としてブラジルやスリランカに産する。月の玄武岩にも微量含まれることがある。日本では未発見。特徴的な物理化学的性質のため,セラミックス原料として利用される。
執筆者:小野 晃
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報