風化作用によって生じた岩石や鉱物の破片が、水または空気の力で運搬される間に、比重の大きい鉱物が濃集・堆積(たいせき)してできた鉱床。砂鉱床ともいう。堆積の場所、堆積作用の違いによって河成砂鉱床(沖積砂鉱床)、海浜砂鉱床、風成砂鉱床に分けられる。漂砂鉱床には現世のものと、地質時代に生成され新しい時代の地層に覆われているものとがある。漂砂鉱床をつくる鉱石鉱物は、比重が重いこと、化学的に安定で風化作用により分解しにくいこと、細かく破砕されにくいことが必要で、その例としては、金、白金、鉄マンガン重石、錫(すず)石、灰重石、チタン鉄鉱、含チタン磁鉄鉱、モナズ石、ジルコン、クロム鉄鉱、ルチル(金紅石)、ダイヤモンドがある。
河成砂鉱床は、河水により運搬された有用鉱物が川の湾曲部の内側、合流点など流れが遅いところに堆積したものである。この型の鉱床では、河床が沈降して何層もの鉱床が重なったり、逆に河床が上昇して河岸段丘に鉱床が存在することもある。砂金、砂白金、砂錫、砂ダイヤモンドなどが河成砂鉱床の重要な例である。海浜砂鉱床は、内陸から運搬された有用鉱物が海浜において波浪作用により濃集・堆積したものである。この型で重要なものは砂ルチル、砂錫である。風成砂鉱床は、とくに海浜砂鉱床が風の作用で移動して形成されたものが重要で、多くの場合、海岸砂丘をなしている。砂含チタン磁鉄鉱、砂チタン鉄鉱、砂ジルコン、砂ルチルなどの例が知られている。
地質時代に形成された漂砂鉱床の例として、南アフリカのウィトワーテルスランドWitwatersrandの金・ウラン鉱床がある。これは、淡水湖に流れ込む河川によって形成された扇状地に堆積した先カンブリア時代の漂砂鉱床で、1887年の開山以来、人類がこの1世紀余りの間に採掘した金のうちの約40%を生産した世界最大の金鉱床である。
[鞠子 正]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新