バトラコトキシン

化学辞典 第2版 「バトラコトキシン」の解説

バトラコトキシン
バトラコトキシン
batrachotoxine

C31H42N2O6(538.68).コロンビア産Phyllobates科のカエルの皮膚分泌物中に存在するステロイドアルカロイド.非結晶性.-260°(メタノール),強力な神経毒である.コロンビア太平洋沿岸の密林に住む先住民は,この毒物を現在も矢毒として狩猟に用いる.弱く分解すれば低毒性のバトラコトキシニンと2,4-ジメチルピロール-3-カルボン酸に分解する.毒性は,現在,知られている毒物のなかでもっとも強く,ボツリヌス毒素に匹敵する.カエル1匹中約80 μg の総アルカロイドを含んでいる.LD50 2 μg/kg(ネズミ皮下).[CAS 23509-16-2]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のバトラコトキシンの言及

【毒ガエル(毒蛙)】より

…またヤドクガエル属やユビナガヤドクガエル属Phyllobatesには,雄が幼生を背にくっつけ,発育が進むまで保護する種が知られている。バトラコトキシンと呼ばれるヤドクガエルの毒はフグ毒の10倍も強く,インディオは1匹分の毒から50本の毒矢をつくるといわれる。しかし科の中には無毒のヤドクガエルモドキ属Colostethusも含まれている。…

※「バトラコトキシン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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