改訂新版 世界大百科事典 「バラノプス」の意味・わかりやすい解説
バラノプス
Balanops
ニューカレドニアを中心に南太平洋の島々に約9種を産し,ブナ科の殻斗に似た構造をもつことで注目されたこともあるバラノプス科の樹木。常緑高木。葉は2型あり,枝の基部のは鱗片状で,普通葉は枝先に輪生状につく。雌雄異株。花は小さく目だたない。雄花は短い尾状花序をなし,数本のおしべがあり,花被はごく痕跡的か,またはない。雌花は単生し,基部は多数の鱗片で包まれている。子房は2~3室に不完全に仕切られ,同数の長い花柱がある。果実は核果で,2~3核を有する。基部は,らせん状に配列した多数の鱗片で包まれていて,一見ブナ科の殻斗を思わせる。しかし,ブナ科の殻斗は茎の変形したものであるのに対し,これは苞のような葉が集合したものと考えられ,直接の関係はない。果実の性質も違い,外見的には似ているがブナ科との類縁は遠い。1属で1科1目を形成する特異な植物群である。
執筆者:岡本 素治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報