バラノプス(英語表記)Balanops

改訂新版 世界大百科事典 「バラノプス」の意味・わかりやすい解説

バラノプス
Balanops

ニューカレドニアを中心に南太平洋の島々に約9種を産し,ブナ科殻斗に似た構造をもつことで注目されたこともあるバラノプス科の樹木。常緑高木。葉は2型あり,枝の基部のは鱗片状で,普通葉は枝先に輪生状につく。雌雄異株。花は小さく目だたない。雄花は短い尾状花序をなし,数本のおしべがあり,花被はごく痕跡的か,またはない。雌花は単生し,基部は多数の鱗片で包まれている。子房は2~3室に不完全に仕切られ,同数の長い花柱がある。果実核果で,2~3核を有する。基部は,らせん状に配列した多数の鱗片で包まれていて,一見ブナ科の殻斗を思わせる。しかし,ブナ科の殻斗は茎の変形したものであるのに対し,これは苞のような葉が集合したものと考えられ,直接の関係はない。果実の性質も違い,外見的には似ているがブナ科との類縁は遠い。1属で1科1目を形成する特異な植物群である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のバラノプスの言及

【オペラ】より

…ドイツ・オーストリア圏では,R.シュトラウスが,ワーグナーの流れを汲む大編成のオーケストラを駆使して,《サロメ》では強烈な官能の世界を,《エレクトラ》では異常なまでに屈折した心理的表現の世界を開いた。しかし,《ばらの騎士》では,上記の作品に見られる表現主義的傾向に再び手綱が締められ,優美な感覚的洗練と擬古的な傾向が現れてくる。 これを境として迎える二つの大戦間の時期は,ジャズの語法の導入(ストラビンスキーの《兵士の物語》,クルシェネクの《ジョニーは演奏する》),原始主義(オルフの《カルミナ・ブラーナ》),民族主義(バルトークの《青ひげ公の城》),新古典主義(ストラビンスキーの《エディプス王》)など,当時の作曲界のさまざまな潮流を反映したオペラが作られる一方,調性と和声機能の否定を意識的に徹底させた十二音の技法(十二音音楽)によるオペラが台頭した時期である。…

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