ブナ科(読み)ぶなか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブナ科」の意味・わかりやすい解説

ブナ科
ぶなか
[学] Fagaceae

子葉植物、離弁花類落葉または常緑高木まれに低木。葉は互生する。雌雄同株。穂状または頭状花序をつくり、雄花は垂れ下がって尾状花序となるものが多い。花被(かひ)は4~7裂する。花柱は3または6本、子房は下位で3または6室。堅果は大きく、いわゆるどんぐりとなり、殻斗(かくと)(総包)で全部または下部を包まれる。世界にブナ、ミナミブナ、クリシイマテバシイナラなど8属400種以上あり、日本にはクリやアカガシをはじめとして5属21種分布する。クリ、シイ、マテバシイの各属は虫媒花で、雄花序が斜上し、強い香気を放つ。気候が温暖で土質のよい地方に広く分布し、森林の優占種になる。林は土壌の生成や改良、果実は家畜飼料、材は家具材をはじめ多くの用途がある。北半球各地で狩猟生活、それに続く農耕文明の発展に大きな役割を果たしてきた。

[萩原信介 2020年1月21日]

 APG分類でもブナ科とされる。2018年のデータでは世界に7属約1000種あるとされ、日本には5属22種が分布する。

[編集部 2020年1月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブナ科」の意味・わかりやすい解説

ブナ科
ブナか
Fagaceae

双子葉植物ブナ目の1科。大部分が落葉性の高木で,北半球の温帯に広く分布し約 10属 600種以上が知られている。葉は単純な形の単葉で互生する。雌雄同株で,雄花は多数集って尾状花序をなし,個々の花は微細で花被はなく5ないし多数のおしべがある。雌花の子房には通常3本の花柱がある。果実は堅果で,総包で保護されている。種子には胚乳がなく,子葉が肥大している。ブナ,クリ,カシ (コナラ) ,シイ,マテバシイなどの各属が含まれ,また南半球には1属ナンキョクブナ属 Nothofagusがあってアンデス地帯,オーストラリア,ニュージーランド,ニューギニアなどに分布する。この科の樹木は大木となり,また純林をつくるものも多く,林業上重要な群である。

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