改訂新版 世界大百科事典 「バリ戦争」の意味・わかりやすい解説
バリ戦争 (バリせんそう)
オランダ東インド軍が,インドネシアのバリ島西部および北部を征服した戦争(1846-49)。18世紀までにもオランダ軍はジャワでバリ人の軍隊と戦うことはあったが,バリ島自体の征服は考えなかった。しかし1840年ごろからバリ人による海賊行為や難破船略奪がしばしばオランダ人を怒らせ,またほかのヨーロッパ勢力がこの島に進出するのではないかという懸念から,42-43年にかけて同島南東部の諸王と条約を結び,難破船略奪を防ごうとしたが効果がなかった。また北部のブレレン,東部のガランガスムの2王国は条約締結を拒み,45年には協力してほかの諸王国を征服しようとした。オランダ軍は46年に両王国を攻めたが,ほかの王国の中にはひそかに両王国を助けるものもあり,不成功に終わった。オランダ軍は48年,49年の2度にわたって攻撃を試み,ようやく軍事的勝利を収めたが,バリ島の北部,東部を直接支配しえたのは53年以後になってからのことである。
執筆者:永積 昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報