懸念(読み)ケネン

デジタル大辞泉 「懸念」の意味・読み・例文・類語

け‐ねん【懸念】

[名](スル)
気にかかって不安に思うこと。「安全性懸念を抱く」「先行きを懸念する」
仏語一つのことに心を集中させること。
執着すること。執念
「かやうの者までも皇居に―をなしけるにや」〈盛衰記・一〉
[類語]思案物思い考え気疲れ気苦労心痛心労恐れ憂慮取り越し苦労危惧杞憂悲観恐れる心配不安危懼きく疑懼ぎく胸騒ぎ気がかり心がかり不安心心細い心許こころもとない憂い気遣いわずら怖い危なっかしい頼り無いおののく動揺心騒ぎ煩慮憂惧ゆうぐ憂懼ゆうく憂い事気遣わしい痛心鬼胎ひやひやはらはらどきどきおどおどあぶなあぶな恐る恐るこわごわおっかなびっくりおじおじおずおずびくびくこわがる臆するおびえるびくつくおじるおじける恐怖恐れをなす悪びれる案ずる気が気でないそぞろ足が地につかない気が揉める居ても立ってもいられない矢も楯もたまらない居たたまれない生きた心地もしない気になる気に病むおぼつかない

けん‐にょ【懸念】

《「けんね(懸念)」の音変化》気がかり。心配。
「はったとにらむ顔つきは、―もなげにしらじらし」〈浄・曽根崎

けん‐ね【懸念】

《「けんねん(懸念)」の音変化》「けんにょ(懸念)」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「懸念」の意味・読み・例文・類語

け‐ねん【懸念・繋念・係念・掛念】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏語。一つのことにだけ心を集中させて、他のことを考えないこと。一つのことに心をかけること。
    1. [初出の実例]「係念 ケネム」(出典:色葉字類抄(1177‐81))
    2. [その他の文献]〔観無量寿経〕
  3. 仏語。あることにとらわれて執着すること。執念。
    1. [初出の実例]「無心無事なるは、真身のあらはるる姿を、繋念の情生ずるは、本心を忘るる時也」(出典:梵舜本沙石集(1283)三)
    2. [その他の文献]〔諸法集要経‐二〕
  4. 気をまわして考えること。推察すること。
    1. [初出の実例]「拙者が懸念(ケネン)には、経若君を鎌倉近処には隠し置きますまい」(出典歌舞伎男伊達初買曾我(1753)一)
  5. ( 形動 ) 気にかかって不安に思うこと。また、そのさま。気がかり。心配。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「俺(わが)うへには眷念(ケネン)せで、とくとく帰路に赴き給へ」(出典:読本近世説美少年録(1829‐32)二)

けん‐ねん【懸念】

  1. 〘 名詞 〙 気がかりに思うこと。心配すること。また、気がかり。心配。けねん。
    1. [初出の実例]「五しゃうのくももはれやらず、又はけんねんむりゃうごうとて、人のをんねんをきる物は」(出典:御伽草子・貴船の本地(室町時代物語集所収)(室町末))

けん‐ね【懸念】

  1. 〘 名詞 〙 「けんねん(懸念)」の変化した語。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「懸念」の読み・字形・画数・意味

【懸念】けねん

気がかり。

字通「懸」の項目を見る

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