日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルツァ」の意味・わかりやすい解説
バルツァ
ばるつぁ
Agnes Baltsa
(1944― )
ギリシアのメゾ・ソプラノ歌手。レフカス島生まれ。アテネ、のちにマリア・カラスの援助によりミュンヘンで学ぶ。1968年フランクフルト歌劇場でモーツァルトを歌ってデビュー。70年以降ザルツブルク音楽祭、ウィーン国立歌劇場など世界の檜(ひのき)舞台で活躍するようになる。ビゼーの『カルメン』をはじめ、モーツァルト、ロッシーニ、R・シュトラウス、ベルディの作品を得意とし、美しい容姿、豊かな声、密度の高い表現により人気を集めている。79年(昭和54)カラヤン指揮のベルリン・フィルとともにベルディ『レクイエム』の独唱者として初来日、翌年のウィーン国立歌劇場日本公演でベーム指揮『フィガロの結婚』などに出演した。2000年(平成12)の来日時にはR・シュトラウスの『ナクソス島のアリアドネ』に出演した。珍しい作品の上演に加わるなど意欲的であり、またオーストリアのテレビドラマに女優として出演するなど活動の幅は広い。
[美山良夫]
『ヘレナ・マテオプーロス著、岡田好恵訳『ブラヴォー/ディーヴァ――オペラ歌手20人が語るその芸術と人生』(2000・アルファベータ)』