日本大百科全書(ニッポニカ) 「アリアドネ」の意味・わかりやすい解説
アリアドネ
ありあどね
Ariadnē
ギリシア神話におけるクレタ島の王ミノスとパシファエの娘。アテネの英雄テセウスがこの島を訪れたとき、彼に恋をしたアリアドネは、迷宮ラビリントスへの道案内に糸玉を与え、英雄の怪物ミノタウロス退治を助けた。糸をたどってラビリントスを脱出したテセウスは、アリアドネとともにナクソス島へ逃れたが、ここでテセウスは浜辺で眠るアリアドネを置き去りにした。しかし、そのあとその島にやってきたディオニソス神が彼女を愛し、妻としてオリンポスへ連れ帰った。ディオニソスは彼女に金の冠を与えたが、のちにその冠は星座(かんむり座)となった。アリアドネはディオニソス神との間に、トアス、スタフィロス、オイノピオン、ペパレトスなどの子をもうけたが、一説ではディオニソスの命を受けたアルテミスによって射殺されたとも伝えられる。
[小川正広]