改訂新版 世界大百科事典 「バーバリーエイプ」の意味・わかりやすい解説
バーバリーエイプ
Barbary ape
Macaca sylvana
霊長目オナガザル科の旧世界ザル。灰色がかった黄土色でうす汚れた印象を与えるサル。外見的には尾はほとんど認めえない。モロッコ,アルジェリアのアトラス山脈沿いおよびジブラルタルにすむ。別名マゴットmagot。ニホンザルより少し小さく,体毛は長くて縮れぎみで,ニホンザル同様耐寒性が強くて積雪地帯にも生息する。北アフリカ,ヨーロッパに生息し,かつアジア産でない唯一のマカク属のサルであるが,洪積世にはこれらの地域にもより広い分布域をもっていた。北アフリカのものはカシ,スギ,ネズの混交林に生息し,それらの葉,芽,樹皮,種子をおもな食物としている。半地上・半樹上生で,12~50頭の群れをつくり,社会構造はニホンザルのそれにきわめて近い。雄が赤ん坊の世話をよくし,劣位の雄は優位な雄に赤ん坊を渡すことによって許容をうるといった行動が報告されている。出産期は6~8月で赤ん坊の体色は黒っぽい。
執筆者:黒田 末寿
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報