パウリ常磁性(読み)パウリジョウジセイ

化学辞典 第2版 「パウリ常磁性」の解説

パウリ常磁性
パウリジョウジセイ
Pauli paramagnetism

金属中の自由電子スピンにもとづく常磁性.W. Pauliが研究したのでパウリ常磁性という.パウリ常磁性の磁化率温度にほとんどよらず一定である.自由電子軌道運動にもとづくランダウ(Landau)反磁性といわれるものもあるが,電子が完全に自由であるときは,パウリ常磁性の磁化率は,ランダウ反磁性の磁化率の絶対値の3倍である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パウリ常磁性」の意味・わかりやすい解説

パウリ常磁性
パウリじょうじせい
Pauli paramagnetism

伝導電子の磁化率は各電子が自由に動きうるならばキュリーの法則に従うはずである。ところが電子はフェルミ分布に従うため低温では縮退していて,磁場を加えても磁化率に寄与しうる電子のスピンの数はフェルミ準位近傍に限られるため,低温では温度によらず一定である。したがって磁化率も一定値をとる。パウリの排他律に依存することからこの名がある。

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世界大百科事典(旧版)内のパウリ常磁性の言及

【磁性】より

… 遍歴電子の場合も電子のスピンによる磁気モーメントに由来する常磁性を示す。これはパウリ常磁性と呼ばれ多くの金属で見られる。この場合も,電子間の相互作用が弱く,磁場がないときにはスピンによる磁気モーメントは打ち消し合っている。…

※「パウリ常磁性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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