パズイルイク文化(読み)パズイルイクぶんか(その他表記)Pazyryk culture

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パズイルイク文化」の意味・わかりやすい解説

パズイルイク文化
パズイルイクぶんか
Pazyryk culture

アルタイ地方の鉄器時代の文化。 M.グリヤズノフは前5~3世紀に比定している。 1920年に,S.ルデンコらによりパズイルイク河谷で,南北に1列に並んだ5基の巨大な古墳の発掘調査が開始された。カラコル河谷のバンアダル村でも2基のクルガンが調査された。最大のものは,積石の直径が 47m,高さが 2.2m。墳丘下には,丸太で木槨が造られ,入墨をした死体が葬られていた。特に興味深いのは,永久凍結のために,副葬品である織物羊毛,皮革製品,毛氈,木製品などが原形をとどめていたことである。それらは,中国の絹布,青銅鏡,アケメネス朝ゴブラン織,西アジア産のコエンドロ種子,オリエント産のアーリア馬など,東西文化交流を明らかに示す諸遺物を含み,古代アルタイ地方が文化的中心であったことを示している。この文化のにない手を,『史記』にみえる月氏に比定する説が有力である。

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