毛氈(読み)モウセン

デジタル大辞泉 「毛氈」の意味・読み・例文・類語

もう‐せん【毛×氈】

獣毛湿気・熱・圧力摩擦を加え、繊維を密着させて織物のようにしたもの。幅広物で、敷物に用いる。
[類語]敷物上敷き薄縁うすべり茣蓙ござ花茣蓙むしろ花筵こも敷き藁絨緞緞通カーペット

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精選版 日本国語大辞典 「毛氈」の意味・読み・例文・類語

もう‐せん【毛氈】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 獣の毛の繊維をひろげ延ばし、加熱・圧縮してフェルトにして幅広の織物のようにしたもの。敷物にしたり、書画をかく場合の下敷きにしたりする。花毛氈のように、木綿糸を入れて織ったものもある。
    1. [初出の実例]「豹虎之敷皮毛氈并茵簟」(出典:異制庭訓往来(14C中))
  3. ( 「もうせん(毛氈)を被る」の略から ) 身代限り、失敗、勘当、かけ落ちなどの意。
    1. [初出の実例]「もふせんをぐっとひろげておやぢまち」(出典:雑俳・川柳評万句合‐安永五(1776)礼四)

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改訂新版 世界大百科事典 「毛氈」の意味・わかりやすい解説

毛氈 (もうせん)

フェルトに同じ。〈氈〉は敷物の意味で,元来,毛氈は毛の敷物一般を指すものであるが,今日ではいわゆる絨毯(じゆうたん)(カーペット)のような織物状のものは除き,獣毛に湿気,温度,圧力,摩擦などを加えて縮絨させ,無織のまま布状としたものをいう。北方民族,また遊牧民族の間では非常に古い時代から使用されていたと考えられ,南シベリアの前5~前4世紀のパジリク墳墓からはみごとな文様を施した馬の背覆いや装飾品,敷物などが,またモンゴル国のノイン・ウラの前漢墓からはフェルト地に刺繡をあしらった各種のものが発見されている。日本には奈良時代に中国あるいは朝鮮より舶載されたものが,東大寺正倉院に伝えられている。なかに白地に藍の花卉(かき)文様,あるいは藍地に華麗な唐花文様を多彩にあらわしたものがあり,これらを特に〈花氈かせん)〉と称している。
フェルト
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「毛氈」の意味・わかりやすい解説

毛氈
もうせん

厚地のフェルトで敷物などに用いるもの。古くは氈(「かも」または「おりかも」)と称した。正倉院には奈良時代に唐から輸入された模様入りの花氈(かせん)が伝えられている。日本では材料の関係からつくられたことはない。後世中国から輸入されたものは多く赤色で、山西、浙江(せっこう)、雲南(うんなん)などでつくられたものが多い。捺染(なっせん)や絞りで花模様をつけたものもあり、俗に花(はな)毛氈とか蒙古(もうこ)氈などという。

[山辺知行]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「毛氈」の意味・わかりやすい解説

毛氈
もうせん

カーペット用毛織物の一種。羊毛その他の獣毛を原料とし,湿気と熱,圧力,摩擦を加えて繊維をからませて作る。本来は遊牧民の間で作られていたもの。今日ではカーペット用には羊毛と化学繊維を混紡したものが普及している。かつては中央アジアや中国産のものが有名であった。正倉院に現存する毛氈は古代毛氈の代表的なもので,色染めをしていない白氈,色氈,色模様のある花氈などがある。原産地は中国とされるが確かではない。

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百科事典マイペディア 「毛氈」の意味・わかりやすい解説

毛氈【もうせん】

獣毛を原料としたフェルト。敷物用とされる。中国伝来とみられ,赤色に染めた緋(ひ)毛氈が多い。花氈(かせん)は獣毛の代りに木綿糸を用いて花文を表したもの。
→関連項目絨毯

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