日本大百科全書(ニッポニカ) 「パチオーリ」の意味・わかりやすい解説
パチオーリ
ぱちおーり
Luca Pacioli
(1445?―1510?)
イタリアの数学者。フランシスコ派の修道士であった。広く読まれた著述『算数、幾何、比および比例全書』Summa de arithmetica, geometria, proportioni et proportionalita(1494)を残した。この本は日本では写真複製本が出版されている。第1部は算数と代数、第2部は幾何学であり、300ページの大作である。ことに第2巻の終わり近くに複式簿記の記述があることが、この本の評価を高めている。ここに論じられている代数は、この時代特有の未知数だけが記号化されたもので、二次方程式を対象としている。現代式に書けば ax3+bx=c および
ax3+c=bx となる方程式に「解法不能」と記しているのは、当時の状態をよく示している。
[中村幸四郎]
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