改訂新版 世界大百科事典 「パラダイスナッツ」の意味・わかりやすい解説
パラダイスナッツ
paradise nut
南アメリカの熱帯地方に分布するサガリバナ科のLecythis usitata Miers,L.zabucajo Aubl.などレシティス属数種の種子で,食用になる。サプカイアナッツsapucaia nutとも呼ばれる。いずれも高さ20~40mになる高木。葉は楕円形~楕円状披針形で互生する。花は両性花で,萼は6裂し,花弁6枚,おしべはアーチ形をした雄器柄上に多数ある。果実は径15~25cmの球状で木質,ふつう中央をとりまいて突出した輪があり,熟すると果頂部分の果皮がふたのように円形にはなれ,中から30~40個の種子を出す。種子は長さ3~6cmの長楕円形。仁は白色で軟らかく,やや甘みがあり,50~60%の脂肪を含む。同科のブラジルナッツより種皮がうすく,風味はまさるが,木が広い地域に散生しているため収穫が少なく,あまり知られていない。果実の殻はみやげ物用装飾品などに利用される。
執筆者:緒方 健
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報