翻訳|Brazil nut
樹高30~50mになるサガリバナ科の常緑高木ブラジルナッツノキBertholletia excelsa Humb.et Bonpl.の種子で,食用になる。Para nut,cream nutの英名もある。ブラジルナッツノキは南アメリカに分布し,アマゾン川流域地方に多い。葉は互生し,長さ20~50cm,幅9~16cmの楕円形で,葉縁が波うつ。花は淡黄白色の両性花,径約3cmで,数十花が頂生する円錐花序につく。萼片は癒合するが開花時に2裂する。花弁は6枚。多数のおしべをつけた盤状の雄器柄は,その片側が伸びてアーチ形に花の中央にかぶさる。果実は径8~15cmの球形,殻は木質で,厚く,かたく,上部を木化した萼がふたをする。果実の中には3稜のある長さ4~6cmの大きい種子が15~30個含まれる。この種子をブラジルナッツと呼び,ブラジルの重要な林産物となっている。かたい種皮に包まれた仁は白色,蠟質で,約65%の脂肪と約17%のタンパク質を含む。クルミに似た風味があり,生食またはいって食べ,チョコレートに混ぜたり,菓子類に用いる。野生の木から年間約5万t収穫され,欧米に輸出される。果実の殻はカップや民芸装飾品とする。
執筆者:緒方 健
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
サガリバナ科(APG分類:サガリバナ科)の高木。南アメリカのアマゾン地域に生え、樹高40メートル、幹は径0.9~1.8メートルになる。葉は長さ約20センチメートルの長楕円(ちょうだえん)形、先がとがり、短い葉柄がある。花は白色で、小さく花茎に集まって開く。果実は直径10~15センチメートルの球形で木質の厚さ約2センチメートルの硬い殻で包まれ、熟すと自然に落下する。殻の中には半月形で長さ5センチメートルの種子が12~24個入っている。種子の外皮は木質で硬く、内部に茶色の薄皮があり、肉質は白く、66%は脂肪、14%はタンパク質である。ブラジルやベネズエラが主産地で、原生林から採集して集め、世界各地、とくに欧米に多く輸出される。
[星川清親 2021年3月22日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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