改訂新版 世界大百科事典 「パーオリ」の意味・わかりやすい解説
パーオリ
Pasquale Paoli
生没年:1725-1807
コルシカの愛国者,政治家。ジェノバのコルシカ支配に抵抗して独立運動を進めた父ジャチントとともに1739年ナポリに亡命。ナポリで軍役に就いた後,1754年,困難な状況のもとで独立革命を続けるコルシカに戻る。翌55年独立政府の最高司令官に選出され,憲法草案を作成して島の最高決定機関(コンスルタ)で承認される。これに基づいて行政,財政,司法,軍事の諸制度を整備し,聖職者の特権を奪った。68年コルシカ支配が負担となったジェノバは,この島をフランスに譲渡し,フランス軍の攻撃が強まったため,69年イギリスに亡命。フランス革命が起こると90年パリに赴き,コルシカ行政長官の地位を得て島に戻った。しかしコルシカの自治を望むパーオリと中央集権的な革命政府との間に対立が生じ,93年イギリスに助勢を求めて共同統治の方式をとった。しかしイギリスもコルシカに自治を認めず,96年ロンドンに抗議に出かけたが無視され,不遇な晩年を送った。
執筆者:北原 敦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報