日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒゲナガカワトビケラ」の意味・わかりやすい解説
ヒゲナガカワトビケラ
ひげながかわとびけら / 鬚長河石蚕
鬚長河飛螻
stenopsychid caddi
昆虫綱トビケラ目ヒゲナガカワトビケラ科の昆虫の総称、あるいはそのなかの1種。この類は大形のトビケラで、翅長(しちょう)20ミリメートル前後。
ヒゲナガカワトビケラStenopsyche marmorataは、前翅は淡灰色の地に褐色の網状紋がある。触角は細く、翅長の約1.5倍。幼虫の頭部は細長く、褐色の地に黒色の斑紋(はんもん)がある。中・胸部背面は膜質。幼虫は河川の上流から下流まで広く分布する。川底の石礫(せきれき)間に粗雑な巣と網をつくり、流れてくる有機物を餌(えさ)とする。アジアとアフリカにだけ約40種が分布し、日本産は3種。幼虫は大形で数も多く、川の生物として生態的にも重要。信州の「ザザムシ」佃煮(つくだに)の主材料。釣り餌として利用されるクロカワムシは本種。春から秋にかけて羽化し、成虫は川沿いの灯火によく飛来する。
[谷田一三]