日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒラタドロムシ」の意味・わかりやすい解説
ヒラタドロムシ
ひらたどろむし / 扁泥虫
[学] Mataeopsephus japonicus
昆虫綱甲虫目ヒラタドロムシ科Psephenidaeに属する昆虫。本州、四国、九州に分布し川の近くにみられる。体長8ミリ前後。背面は暗褐色で触角や脚(あし)は淡色。卵形で平たく、後方へ広がる。触角は糸状。上ばねは褐色の短毛に覆われる。幼虫は短楕円(だえん)形で板状、水中の石に付着して藻類を食べる。5月ごろ上陸して小石の下などで蛹(さなぎ)になる。成虫は6月ごろ現れ、夜は灯火にも飛来するが、雌は水中に潜り石の下側に産卵する。ヒラタドロムシ科の甲虫は普通、小形・卵形で平たく、体が軟弱、雄の触角節はしばしば長い分枝を出して櫛(くし)状になる。幼虫は水生で、円形ないし楕円形、板状、英語でwater pennyとよばれる。分布は広いが、100種ぐらい知られ、日本産は約10種。
[中根猛彦]