ビカリア(読み)びかりあ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビカリア」の意味・わかりやすい解説

ビカリア
びかりあ
[学] Vicarya

高さ最大10センチメートルに達するウミニナ科に属する巻き貝。螺層(らそう)に強い突起をもち、殻口(かくこう)に二重の切れ込みがある。小形のビカリエラVicaryellaとともに日本各地の新生代の始新統から中新統にかけて化石が発見され、熱帯亜熱帯のマングローブ林を伴う汽水から海水域に生息した。そのため、この地質時代を示す標準化石や、この環境を示す示相化石ともなっている。地層中に埋没している間に石灰質の殻(から)が溶けて、殻の内部にケイ酸が沈殿して肉質光沢をもつオパールに置き換えられているものを、岐阜県の端浪(みずなみ)地方では「月のお下がり」とよんでいる。

[大森昌衛]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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