日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビゲラン」の意味・わかりやすい解説
ビゲラン
びげらん
Gustav Adolf Vigeland
(1869―1943)
ノルウェー最大の彫刻家。4月11日マンダルに大工の子として生まれる。1884年にクリスティアニア(現オスロ)に出て、彫刻家バーグスリェンBrynjulf Bergslienにみいだされ、シェイブロックMatias Skeibrokの下で学ぶ。90年の官展に『ダビデ』像を出品し、奨学金を得てコペンハーゲンに学ぶ。1902年、数学者「アーベル記念像」模型コンテストで賞を逸したが、多数の支持者を得て大作を完成した。またノルウェー独立(1905)直後の国家的支援を受けて、06年から生涯かけて制作したオスロのフログナー公園の彫刻群は、121体の老若男女を刻した17メートルの花崗(かこう)岩石柱を中心におびただしい人像を配し、生と死の輪廻(りんね)を象徴的に表している。公園は死後の47年に完成。肖像彫刻にも優れ、イプセンやグリーグのものなどがある。43年3月12日オスロで没。アトリエは美術館として保存されている。
[三田村畯右]
『中尾是正著『輪廻の彫刻――ヴィーゲランと彫刻公園』(1982・グラフ社)』