改訂新版 世界大百科事典 「ビコル族」の意味・わかりやすい解説
ビコル族 (ビコルぞく)
Bikolano
フィリピンのいわゆる平地キリスト教民の一グループで,ルソン島南東端にのびるビコル半島およびカタンドゥアネス島に住み,ビコル語を話す。人口は293万(1975)で,総人口の約7%を占めている。米,トウモロコシ,ココナッツおよびマニラ麻(アバカ)の栽培を行うが,台風の襲来を頻繁にうけ,多大な被害を被ることが多い。アルバイ州の州都レガスピはビコル族の中心地で,ほぼ完全なコニーデ型のマヨン火山を背後に擁し,観光地としても知られている。他の諸族に比較してカトリック教徒の比率が高く,信心深いと考えられており,より若いときに結婚してより多くの子どもをもつ傾向が強い。またその気性は穏やかで,運命を享受して郷里にとどまることを好み,他地域へ移住することが比較的少ない。料理は唐辛子をたっぷり用いて,辛い味付けにするのが特徴である。
執筆者:清水 展
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報