日本大百科全書(ニッポニカ) 「マヨン火山」の意味・わかりやすい解説
マヨン火山
まよんかざん
Mount Mayon
フィリピンのルソン島南東端部、レガスピの北北西にそびえる世界でも屈指の対称性をもつ円錐(えんすい)形の成層火山。標高2462メートル。玄武岩、安山岩からなる同国の代表的活火山で観光客が多い。17世紀から40回を上回る噴火を繰り返している。山頂爆発型で、ストロンボリ式噴火をおこす一方で、山頂にできた溶岩円頂丘(溶岩ドーム)が崩れて火砕流を発生する。
1814年の火砕流で死者約1200人、1815年の火山泥流で死者約1500人を出した。1993年突然おこった噴火は、噴煙を約5000メートルも吹き上げ、火砕流が発生、30人が犠牲となった。また1999年6月にも爆発的噴火が始まり、2000年2月には山頂火口に溶岩ドームが出現した。火山性微動のあとに高さ50メートルの溶岩噴泉がみられ、爆発を繰り返した。その後も、毎年のように小規模な噴火を繰り返している。国立の火山観測所がある。
[諏訪 彰・中田節也]
『荒牧重雄・白尾元理・長岡正利編『空からみる世界の火山』(1995・丸善)』