改訂新版 世界大百科事典 「ビジャヤ」の意味・わかりやすい解説
ビジャヤ
Vijaya
生没年:?-1309
インドネシア,マジャパイト王国の建設者。在位1293-1309年。即位後の名はクルタラージャサ・ジャヤワルダナKertarajasa Jayavardana。シンガサリ王国最後の王クルタナガラの親戚かつ女婿であったが,1292年に奪者ジャヤカトワンがクルタナガラ王を殺し,国を奪った。ビジャヤは最初マドゥラ島に逃れたが,やがて表面は恭順の態度を示してジャワに帰り,ブランタス川下流の地を与えられて,ひそかに復権の機会をうかがった。93年になると,先王クルタナガラがモンゴル人の元朝の使節を侮辱したことから派遣された元の水軍がジャワに到着した。ビジャヤは元軍を利用して首都を奪回した後,元軍を退去させて新しい王朝を開き,ブランタス川下流のマジャパイトに都した。彼は領土拡張を好まず,95年には元とも国交を回復した。しかし彼の治世の間は内乱が絶えず起こり,国内はあまり安定しなかった。
執筆者:永積 昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報