ドブニウム(読み)どぶにうむ(英語表記)dubnium

翻訳|dubnium

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドブニウム」の意味・わかりやすい解説

ドブニウム
どぶにうむ
dubnium

周期表第5族に属する人工元素の一つ。原子番号105の元素。1970年アメリカのカリフォルニア大学バークリー研究所のギオーソAlbert Ghiorso(1915―2010)らは、カリホルニウム249(249Cf)に85MeV(メガ電子ボルト)の窒素15(15N)を衝突させて半減期1.6秒の260105(質量数260の105番元素)が得られたこと、さらにこれは9100keV(キロ電子ボルト)のα(アルファ)粒子を放出して崩壊することを報告した。また同じ1970年ソ連のドゥブナ研究所のフレーロフGeorgy Nikolaevich Flerov(1913―1990)らはアメリシウム263(263Am)に123MeVのネオン22(22Ne)を衝突させて261105を得たとし、さらに1971年同じ方法を改良して実験を行い、その生成を報告した。国際純正・応用化学連合(IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry)と国際純粋・応用物理連合(IUPAP:International Union of Pure and Applied Physics)の作業グループは、バークリー研究所の1970年報告とドゥブナ研究所の1971年報告を正式に105番元素の発見と認めた。

 1994年IUPACとIUPAPは、105番元素の元素名をフランスの原子物理学者ジョリオ・キュリーJean Frédéric Joliot-Curieにちなんで暫定的にジョリオチウムjoliotium、元素記号をJlとしたが、1997年これを改め、ドゥブナ研究所の所在地ドゥブナDubnaにちなんで元素名ドブニウム、元素記号Dbとした。

[中原勝儼]



ドブニウム(データノート)
どぶにうむでーたのーと

ドブニウム
 元素記号  Db
 原子番号  105
 原子量   (262)
 融点    ―
 沸点    ―
※括弧内の数値は原子量ではなく、同位体質量数の一例

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドブニウム」の意味・わかりやすい解説

ドブニウム
dubnium

人工元素の一つ。元素記号 Db。原子番号 105。1970年アメリカ合衆国のバークリー研究所のアルバート・ギオルソらは,カリホルニウム249に窒素15を衝突させて質量数 260の 105番元素(半減期 1.6秒)が得られることを報告した。また同じ 1970年,ソビエト連邦合同核研究所グレゴリー・N.フレーロフらもアメリシウム263にネオン22を衝突させて質量数 261の 105番元素を得たと報告した。国際純正・応用化学連合 IUPACと国際純粋・応用物理学連合 IUPAPは 1997年,合同核研究所の所在地ドゥブナにちなんで元素名をドブニウム,元素記号を Dbとすることを決めた。

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